2008年12月25日

ダンサー紹介:ステラ・アラウソ

スペインの志風恭子さんにアントニオ・ガデス舞踊団のダンサー紹介をしていただきます。まず第1回目は、《カルメン》でアントニオ・ガデスの相手役として長年演じてきた芸術監督ステラ・アラウソです。これからダンサー全員を紹介していただきますので、是非お楽しみに!

ステラ・アラウソ
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4歳のときから踊り続けている天性のダンサー、それがステラ・アラウソ。
9歳でコンセルバトリオ(コンセルバトワール。公立の音楽舞踊学校)に入学。パコ・フェルナンデスやマリエンマら、スペイン舞踊の名教授たちに師事し、きっちりと基礎を学びました。13歳のときからはプロとして舞台にたち、15歳でマリア・ロサ舞踊団に入団し研鑽を積み、17歳でアントニオ・ガデス舞踊団に入団。そんな彼女の才能を見抜いたアントニオ・ガデスは、若くして「血の婚礼」の花婿の母役や「カルメン」のけんかの相手など重要な役に抜擢し、ステラも見事にその期待にこたえました。

 1988年。それまでガデスの相手役をつとめていたクリスティーナ・オヨスが退団すると、代わって相手役、つまり「カルメン」のタイトルロールを踊るようになり、1989年には、マヌエル・デ・ファリャの「恋は魔術師」のガデスバージョン、「炎」の主役を踊りました。
 アントニオ・ガデスを誰よりも敬愛し、彼と何百回と舞台にたっていた彼女が、新生アントニオ・ガデス舞踊団の芸術監督となったのもごく自然なことにちがいありません。
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 稽古中はときに厳しい声もとばす彼女ですが、オフはざっくばらんで親しみやすい感じ。
「3年たって、舞踊団も成長しましたね。最初からいる踊り手たち、ガデスを知っている踊り手たちだけでなく、新しく加わった踊り手たちも、ガデスをより理解してきていると思います。また監督としての私も自分のやっていることに、より自信をもつことができるようになりました。最初からすばらしい作品をやっているということはみんなにもわかっていたわけですが、この3年間でより、自分のものとして自信をもって踊ることができるようになってきたと思うのです。若い踊り手たちも、ガデスのコンセプト、細部の重要さ、舞台にいる誰もが同じように大切な存在だということ、すべてが作品に関わってくるということを、個人の技でみせるのではなく、チームワークで舞台をつくっていくということを、身をもって理解してきたのではないでしょうか」

今回、「アンダルシアの嵐」のオーディションでも新しいダンサーが加わりましたが
「彼らはほかのダンサーが3年間かけてしてきたことを短期間で学ばなくてはいけないからとてもたいへんだけど、よくやっていると思います。とても満足しているわ。彼ら自身が舞台の物語を、ガデス舞踊団を自分のものとして感じるためにはまだ少し時間がかかるかもしれないけれど」

稽古、公演、と休む暇もありませんね
「ほんとうにそうなの! お願い、少しは休ませて!っていっているの(笑)。もう家のことも世の中のニュースもなにも知らなかった、ってことがしょっちゅうなのよ。たまには休んで、リフレッシュして新たな気分で仕事に戻るってことも必要だと思うの。今年はほんと休みが少なかったわ。「アンダルシアの嵐」に3月からとりかかって、その稽古だけでも8月、イタリアでの初演までで70回。その間に公演もあるし、「カルメン」初演25周年記念のお祝いもあったし…。夏休みもほとんどなかったの。来年は一ヶ月の休みを約束して、っていっているんだけれど、どうなるかしら。でもこんなことをいったらいけないわね。舞踊団にとってたくさん公演できることほど幸せなことはないんだから。今は大きな舞踊団はほとんどないし、どこの舞踊団も仕事が少なくてたいへんなんだし」

毎年たくさんのフラメンコ作品が生まれていますがその中で何度も演じられるようになるものはごくわずかです
「ガデスの穴を埋めるような人は残念ながらあらわれていませんね。いろんな振付家はでてきていますが、ガデスのような作品をつくりだせる人はまだいません。若い人が多いからこれから研鑽をつんで今後、という可能性はあると思いますが」

ガデスの作品のように長年にわたり、それも複数の舞踊団によって上演される作品というものはほかにありませんね。「アンダルシアの嵐」はスペイン国立バレエ団が、「血の婚礼」はアンダルシア舞踊団も上演しましたし
「キューバ国立バレエ団やナンシーのバレエ団も上演しました。
 ガデスは天才というだけでなく、ひとつの作品をつくるのに10年近い歳月をかけているのです。。『作品をつくりあげると僕はからっぽになってしまう。これがまた満杯にならないと新しい作品をつくることはできない』っていつもインタビューでいっていました。だからこそ、作品に重みがあるのではないでしょうか。何年もかけてテーマをあたため、アイデアを整理して、そうしてやっとひとつひとつの振りを考えるなど、かたちにしていく…」

「アンダルシアの嵐」では小道具の位置ひとつ、本の小さな動きにいたるまでみごとに計算しつくされているのに感嘆しました。
「『血の婚礼』は最初の作品ということもあってそれほどでもないかもしれませんが、『カルメン』では全員でアンサンブルでみせていますし、最後の作品である『アンダルシアの嵐』ではとくに構成のみごとさを感じることと思います。彼の30年の経験が反映されて、細かな部品を組み立てて、完璧に機能する時計をつくる熟練の職人のような感じ、といったらいいのでしょうか。もしも次の作品が生まれていたら、またより完璧なものとなっていたことでしょう」
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舞台上の人物の配置の妙もガデス作品ならではの魅力だと思います
「ガデスの目、ですね。彼はいつもバランを考えていました。音楽、感情、ビジュアル…すべてに対して、です。また彼は絵画を愛していました。その影響もあると思います。船で海にでていくことも愛し、そのことも影響していると思います。船からみる自然の色や光、そういったものが作品に反映していると思います。とくに絵画の影響が強いんじゃないでしょうか」

「カルメン」「血の婚礼」「フラメンコ組曲」「アンダルシアの嵐」ときて残るは「炎」ですね
「ええ、2010年か2011年じゃないかしら。今の3作品もよりよくしていかなければならないし、新作上演までには時間が必要だわ。でも必ず上演しますよ」

日本の観客へのメッセージを
「日本に行きたくてたまりません。若いときから、ガデスとも何度も訪れた国。わたしにインスピレーションをくれる国なんです。あなたが日本人だからいうのではなく、世界で一番ガデスを、彼の哲学をわかってくれる国だと思います。」

日本のフラメンコ練習生にもひとこと
「自律と稽古あるのみです!」

Photo:Javier del Real ©



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posted by Japan Arts at 11:11 | ダンサー紹介 | 更新情報をチェックする